ゴムの持つ、最も大きな特徴として弾性が挙げられます。このゴム弾性は、ゴムに熱を加え て加硫(架橋)することで初めて得られる特性です。
未加硫ゴムは、例えるとすれば工作用粘土の様なさわり心地で、ゴムらしい弾性は有していません。
このため、変形を加えると元の形には戻らず、与えた歪みが残ったままになります
(塑性変形)。
一方、加硫ゴムは化学反応により分子鎖の間に架橋点が形成され、三次元網目構造をとっています。このため、変形を加えてもゴムは伸び縮みするだけで歪みは残りません(弾性変形)。
ゴム弾性を有するため、ゴムは固体状物質であるにも関わらず、数百% 以上の変形が可能であり、かつ変形を取り除くとすぐに元の長さに回復することが可能です。
ゴムといっても様々な種類があり、それぞれが利点・欠点を持っています。その欠点を補ったり、利点を際立たせたりするためには、配合を行う必要があります。
各種の薬剤(架橋剤・補強剤・老化防止剤・充てん剤など)を使い分けてゴムに練り混むことで、お客様に満足して頂ける性能をゴムから引き出します。
プラスチックも、熱や圧力により成形できる、高分子材料です。熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の2 種類に分けることができ、前者は高温で溶融し常温に近づくと硬化するのに対し、後者は加熱により硬化します。
プラスチックは、ゴムの様な弾性を持っていませんが、代わりに高い強度や耐薬品性を有しています。中でも、エンジニアリングプラスチックは力学的・熱的特性、寸法安定性に優れ、金属の代替え材料として用いられています。
熱可塑性エラストマー(TPE:Thermoplastic elastomer)は、常温においてゴム弾性を有するソフトセグメント(ゴム成分)と、強度を付与するするハードセグメント(樹脂成分)が結合した高分子材料です。
補強作用を持つハードセグメントを有するため、補強剤を加えずとも補強剤を添加した加硫ゴムと同程度の強度を持ちます。また、加硫ゴムと異なり化学架橋されていないため、熱を加えることで再成形可能という利点も持ちます。
一方で、高温で塑性変形を起こすため耐熱性に劣り、低硬度のものが少ない等の欠点も有しています。